アライバルノーティス(A/N)とは?デリバリーオーダー(D/O)との違いと輸入貨物の引取りの流れ

アライバルノーティス(A/N)とは? D/Oとの違いと輸入貨物の引取りの流れ 実務・手続き

アライバルノーティス(Arrival Notice:A/N)とは、船会社・航空会社やその代理店、フォワーダーが、輸入者側に「貨物が到着する(到着した)」ことを知らせる通知のことです。日本語では「到着通知」「貨物到着案内(書)」と呼ばれ、多くの場合、輸入者が支払うべき運賃や諸費用の請求もこの通知に載ってきます。

輸入の仕事を始めると、A/Nのすぐあとに「D/O(デリバリーオーダー)」という書類も出てきます。どちらも船会社から来るので混同しやすいのですが、A/Nは「着きました、費用はこれです」というお知らせ、D/Oは「この人に貨物を渡してください」という引渡しの指図書で、役割はまったく違います。B/L(船荷証券)が届かない、航空便だった、といったケースでも手順が変わります。

この記事では、税関・JETRO(日本貿易振興機構)・船会社の公開資料をもとに、A/NとD/Oの違い、B/Lがない場合や航空貨物の引取り方、本船入港からコンテナヤード(CY)を出るまでの流れ、デマレージ・ディテンション、D/Oの電子化、よくあるトラブルまでを整理します。B/Lそのものの仕組みは船荷証券(B/L)とは、輸入手続き全体は輸出入手続きの流れで解説しています。

アライバルノーティス(A/N)とは|誰が・いつ・誰に出すか

誰が出すか

税関のカスタムスアンサー1102「貨物到着から貨物引取までの流れ」は、貨物が到着すると「航空会社、船会社又はフォワーダー」から輸入者に対して到着通知(Arrival Notice)が発行される、と説明しています。海上のコンテナ貨物なら船会社やその代理店、混載(LCL)などでフォワーダーが運送を引き受けている場合はフォワーダーから届く、と考えると分かりやすいでしょう。フォワーダーの役割はフォワーダー・乙仲とはで解説しています。

誰に届くか

A/Nの宛先は、運送書類に書かれた荷受人(Consignee)や着荷通知先(Notify Party)です。JETROは、海上運送状を使う取引で、本船入港前に着荷通知先あてにA/Nが送付されると説明しています。マースクの日本向け案内も、A/NはConsignee/Notifyあてに発行するとしています。

JETROは、船会社や代理店から荷受人(通関業者)に貨物到着案内が送られる流れも紹介しており、実務では輸入者が起用した海貨業者・通関業者がA/Nを受けて手続きを進める場面もあります。

いつ届くか

海上貨物の場合、A/Nは本船が日本の港に着く前に出るのが基本です。JETROは、本船が仕向地に到着する前に船会社または代理店からA/Nが送付されると説明しています。具体的なタイミングは船会社が決めていて、たとえばマースクは、A/Nの発行を「原則として日本到着24時間前まで」「日本に向かう船が積出港を出港した後」と案内しています(2024年4月時点の同社資料)。

航空貨物は流れが速く、JETROによれば、航空機が着いて貨物ターミナル(保税蔵置場)で取り出し・仕分け・点検をした後に、輸入者へ到着通知が行われます。

主な記載事項と請求される費用

A/Nの書式は船会社ごとに異なります。税関と船会社の資料で確認できる主な記載事項は、次のとおりです。

記載事項内容・使い道確認できる資料
貨物が到着する(した)旨輸入手続きを始める合図になる税関カスタムスアンサー1102
貨物の蔵置場所(倉庫またはCY)輸入申告する税関官署を決める手がかり(蔵置場所を管轄する官署に申告する)神戸税関「輸入申告前のチェックリスト」
請求される運賃・船卸費用など船会社に支払ってからD/Oを受け取る同上
運賃の明細輸入申告で使う運賃明細書を兼ねている場合がある東京税関「個人・自社輸入通関の手順」
荷受人・通知先、支払条件と支払者誰が何を払うのか(Prepaid/Collect)を確認するマースク日本法人の案内

注意したいのは、A/Nに金額が載らない船会社もあることです。マースクは2023年3月20日からA/Nの書式を変え、海上運賃・諸チャージの金額を表示しないようにしました。金額は別に発行する請求書(インボイス)で確認する仕組みで、消費税も請求書にだけ記載されます。A/Nだけを見て支払うと、金額を取り違えるおそれがあります。

請求される費用の種類について、JETROは本船入港時にかかる諸掛りとして、ターミナル・ハンドリング・チャージ(THC)、混載貨物の取扱費用であるCFSチャージ、エンプティー・コンテナ・ハンドリング・チャージ(ECHC)、そしてD/OやA/Nの発行手数料(D/O FeeまたはDocument Fee)を挙げています。D/O Feeは、一般的に船荷証券1件あたりいくらという料金体系だとされています。

運賃を輸入者側が後払いする条件(Collect)か、輸出者側が前払いする条件(Prepaid)かは、売買契約の条件で決まります。運賃をどちらが負担するかの考え方はインコタームズとはやFOBとはを参照してください。

デリバリーオーダー(D/O)とは|B/Lと引き換えに出る「荷渡指図書」

デリバリーオーダー(Delivery Order:D/O)は、日本語で「荷渡指図書」と呼ばれる書類です。船会社が、貨物を保管しているCYや倉庫に対して「この貨物をこの人に渡してよい」と指図するもので、これがないとコンテナや貨物を引き取れません。

神戸税関のチェックリストは、A/Nで請求された運賃や船卸費用などを船会社に支払い、B/Lと引き換えにD/Oを受け取ったかを、輸入申告前の確認項目に挙げています。JETROも、海貨業者がB/Lを船会社に提示し、B/Lと引き換えにD/Oを本船入港前に入手する、と説明しています。

なぜB/Lと引き換えなのかというと、B/Lは有価証券だからです。商法第764条は「船荷証券が作成されたときは、これと引換えでなければ、運送品の引渡しを請求することができない」と定めています。船会社は正当なB/Lの所持人を確かめたうえで、D/Oを出して引渡しの準備をするわけです。B/Lの性質は船荷証券(B/L)とはで詳しく解説しています。

D/Oの使いどころは、貨物を保税地域から出す最後の場面です。東京税関の案内は、輸入許可書とD/Oを倉庫に提示して貨物を引き取る、と説明しています。税関の輸入許可(関税などを納めて国内に入れてよいという許可)と、船会社の引渡し指図の2つがそろって、はじめて貨物を外に出せるわけです。なお同じ案内には「D/Oが無い場合もあります」との注記もあり、後で説明する「D/Oレス」の運用などがこれにあたります。

A/NとD/Oの違い|比較表

ここまでの内容を、比較表にまとめます。

項目アライバルノーティス(A/N)デリバリーオーダー(D/O)
日本語到着通知、貨物到着案内(書)荷渡指図書
主な発行者船会社・航空会社・その代理店・フォワーダー船会社(航空貨物では航空会社)
受け取る人荷受人・着荷通知先(実務では海貨業者・通関業者が受けることも多い)B/Lを差し入れた人、運賃等を支払った荷受人
出るタイミング本船の入港前後(会社ごとに決まっている)B/Lの提出(または運賃等の支払い)の後
役割到着を知らせ、運賃・諸費用を請求するCYや倉庫に貨物の引渡しを指図する
引取りに必要かA/Nそのものは引換証ではない原則として必要(D/Oレスの運用もある)
輸入申告での扱い運賃明細書を兼ねることがある。申告書類の一つに挙げられている申告書類の一つに挙げられている(神戸税関)

一言でいえば、A/Nは「お知らせと請求書」、D/Oは「引渡しの指図書」です。A/Nを受け取っただけでは貨物は引き取れず、支払いとB/Lの手当てを済ませてD/Oを得る必要があります。

B/Lがない・使わない場合のD/O|サレンダードB/L・海上運送状・L/G

近距離の航路では、船が速く着きすぎて、B/Lの原本が銀行や輸入者の手元に届く前に貨物が到着してしまうことがあります。JETROは、B/Lの原本がないと貨物を引き取れないとしたうえで、対策として、B/Lに代わる運送状やサレンダードB/Lを使う方法と、銀行保証(保証状)で引き取る方法を挙げています。それぞれD/Oの出方が違います。

方法D/Oを受け取る条件(JETROの説明)注意点
通常のB/LB/L原本を船会社に提出し、引き換えにD/Oを受け取る原本の紛失・未着に弱い
サレンダードB/L(サレンダーB/L、元地回収)船積地でB/L原本が回収済み。運賃など必要な費用を払うとD/Oが出る法律・条約・信用状統一規則に規定がない便宜的な方法。荷為替手形の担保にならない
海上運送状(Sea Waybill)A/Nに荷受人が署名して提出し、必要な費用を払うとD/Oが出る有価証券ではなく裏書譲渡できない。原本の提示は不要
保証状(L/G)差し入れ銀行が連帯保証した保証状を船会社に差し入れ、B/Lなしで先に引き取る後日B/Lを提出してL/Gを回収する。条件不一致(ディスクレ)があっても支払いを拒めない

サレンダードB/Lの場合

JETROによれば、サレンダードB/Lは船積地の運送人がB/L原本の全通を回収し、「Surrendered」と押印したものです。運送人は回収したことを陸揚げ港の代理店などに連絡し、運賃など必要な費用が支払われると、輸入者にD/Oが発行されます。ただしJETROは、サレンダードB/Lは法律や条約で規定されたものではなく、事故が起きたときの解決が難しいため、商取引上の支障がなければ海上運送状の利用を勧めています。サレンダードB/Lの詳しい仕組みは船荷証券(B/L)とはの該当章を参照してください。

海上運送状(Sea Waybill)の場合

海上運送状は、貨物の受領証と運送条件を記載した書類を兼ねたもので、有価証券ではありません。荷受人であることが確認できれば、原本を提示しなくても貨物を引き取れます。JETROは具体的な手順として、本船入港前に着荷通知先あてにA/Nが送付され、そのA/Nに荷受人が署名して提出すればD/Oが発行される(海貨業者などが代理で受け取る場合は代理人の名前も併記する)と説明しています。海上運送状を使う取引では、A/NがD/Oを受け取るための書類として働くわけです。

海上運送状は、商法第770条に交付と記載事項の規定があり、信用状統一規則(UCP600)第21条でも運送書類の一つとして定められています。

保証状(L/G)を差し入れる場合

信用状や荷為替手形で決済する取引で、本船が着いたのにB/Lが銀行に届いていないときは、輸入者の取引銀行が連帯保証した保証状(L/G)を船会社に差し入れて貨物を先に引き取れます。ただしJETROは、第三者のB/L所持人が現れて損害が生じた場合は輸入者が一切を負担すること、引き取った後は書類に条件不一致があっても、貨物が品質不良でも決済を拒めないことを留意点に挙げています。スピードと引き換えに輸入者側のリスクが大きくなる方法です。信用状の仕組みは信用状(L/C)とはで解説しています。

航空貨物の場合|Air WaybillとD/O

航空輸送では、B/Lの代わりに航空貨物運送状(Air Waybill:AWB)が使われます。JETROによれば、AWBは貨物の受領証と運送契約の証拠という性質は持ちますが、引換証や有価証券ではなく、記名式で譲渡できません。荷受人であることを証明すれば、AWB原本を運送人に提出しなくても貨物を引き取れます。

JETROの説明では、到着通知を受けた輸入者が航空貨物取扱業者に通関を委託し、取扱業者が航空会社からD/Oを受け取って貨物を引き取ります。AWBの荷受人欄に銀行が指定されている場合は、到着通知に添付された航空貨物引渡指図書(Release Order)に銀行のサインをもらう手続きが入ります。

項目海上貨物(コンテナ)航空貨物
運送書類船荷証券(B/L)または海上運送状航空貨物運送状(AWB)
運送書類の性質B/Lは有価証券(引換証)。海上運送状は有価証券ではない有価証券ではない。記名式で譲渡できない
A/Nの届き方本船入港前に船会社・代理店から届くのが基本到着・仕分け・点検の後に通知される
D/Oの出し手船会社(またはその代理店・フォワーダー)航空会社
銀行が荷受人の場合B/Lを銀行から入手(L/C・D/P・D/A)Release Orderに銀行のサインを受ける

東京税関の案内も、到着通知に従って料金を支払い、「D/O・AIR WAYBILL(ORIGINALの記載があるもの)」を受け取るよう説明しています。航空と海上の違い全般は海上輸送と航空輸送の違いを参照してください。

輸入貨物の引取りの流れ|本船入港からCY搬出まで

海上コンテナ貨物を例に、A/NとD/Oが出てくる順番を流れで整理します。税関のカスタムスアンサー1102、神戸税関・東京税関の資料、JETROの説明をもとにしています。

順番段階主にやること主な担い手使う書類
1船積み・書類の送付輸出者から船積通知や船積書類(インボイス・パッキングリスト・B/Lなど)が届く。決済が荷為替手形なら銀行から入手輸出者・銀行・輸入者B/L、インボイス、パッキングリスト
2A/Nの受領本船入港前後にA/Nが届く。蔵置場所・請求額・支払条件を確認し、海貨業者・通関業者に手配を依頼船会社→輸入者・海貨業者A/N(請求書が別の場合あり)
3本船入港・保税地域へ搬入コンテナがCY(指定保税地域など)に搬入される。LCLはCFSで取り出し・仕分け船会社・CY・CFS―
4運賃・諸費用の支払い、B/Lの提出A/Nで請求された運賃・船卸費用などを支払い、裏書したB/Lを船会社に提出輸入者・海貨業者A/N、B/L
5D/Oの受領B/Lと引き換えにD/Oを受け取る(D/Oレスの場合はNACCS上の表示を確認)船会社→海貨業者D/O
6輸入申告貨物を置いている保税地域を管轄する税関に申告。原則として搬入確認後通関業者輸入申告書、インボイス、運賃明細(A/N)、B/Lの写しなど
7審査・検査・納税書類審査、必要に応じて検査。関税・消費税などを納付税関・輸入者納付書
8輸入許可輸入許可書を取得。貨物は内国貨物になる税関輸入許可書
9CY・CFSから搬出輸入許可書とD/Oを提示して貨物を引き取る海貨業者・陸運会社輸入許可書、D/O
10空コンテナの返却貨物を取り出した空コンテナを指定の場所に返す陸運会社など―

順番のポイントは3つあります。

1つ目は、輸入申告は原則として貨物が保税地域に入った後だということです(カスタムスアンサー1102)。東京税関も、倉庫での搬入確認が終わっていないと原則として輸入申告できない、と注意しています。保税地域の種類は保税とはで解説しています。

2つ目は、D/Oは早めに手当てできることです。神戸税関のチェックリストはD/Oの受領を輸入申告前の確認項目に入れており、JETROも海貨業者がD/Oを本船入港前に入手すると説明しています。

3つ目は、貨物を外に出すには「税関の許可」と「船会社の指図」の両方が要ることです。

急ぐ貨物では、到着前に申告書類を出して審査を受けておく予備審査制度などもあります(JETRO)。通関手続きの中身は通関とは、通関業者の役割は通関士とはを参照してください。

引取りで出てくる船積書類

「船積書類」は、B/Lやインボイスなど、船積み後に輸出者側から輸入者側へ渡る書類一式のことです。JETROは、輸入者は輸出者から送られてくる船積書類を点検し(荷為替手形決済なら銀行から船積書類一式を入手し)、B/Lに裏書きして海貨業者に渡すと説明しており、B/Lを船積書類の中で最も重要な書類の一つと位置づけています。A/NやD/Oは輸入地で船会社などから出る書類で、船積書類とは出どころが違います。引取りの場面で手元に集まる書類を、出どころ別に分けると次のとおりです。

書類出どころ引取りでの役割
インボイス(仕入書)輸出者(船積書類)輸入申告で価格・数量を示す
パッキングリスト(包装明細書)輸出者(船積書類)梱包の内容・個数・重量を示す
船荷証券(B/L)船会社が発行し、輸出者・銀行経由で届く(船積書類)船会社に提出してD/Oと引き換える
アライバルノーティス(A/N)輸入地の船会社・代理店・フォワーダー到着通知と請求。運賃明細を兼ねることがある
デリバリーオーダー(D/O)輸入地の船会社CY・倉庫に引渡しを指図する
輸入許可書税関D/Oとともに提示して貨物を引き取る

各書類の詳しい中身は貿易書類の基礎でまとめています。

フリータイムとデマレージ・ディテンション

A/Nが届いてからの段取りが遅れると、追加の費用がかかることがあります。それがデマレージとディテンションです。JETROの説明をもとに、用語を整理します。

用語意味(JETROの説明)いつ発生するか
フリータイムCYからの搬出が猶予される一定の「無料保管期間」、またはCYからコンテナを引き取ってコンテナ保管場(バンプール)に返すまでの「無料貸出期間」―
デマレージ(Demurrage)超過保管料。陸揚げされたコンテナがフリータイムを過ぎてもCYに留め置かれた場合に課されるCY(またはCFS)で無料保管期間を超えたとき
ディテンション(Detention)返却延滞料。CYから納入先にコンテナを運び、返却されるまでの日数がフリータイムを超えた場合に課される引き取った後、空コンテナの返却が遅れたとき

つまり、デマレージは「港から出すのが遅い」ときの費用、ディテンションは「コンテナを返すのが遅い」ときの費用です。JETROは、どちらも一般的に、超過期間が長くなるほど1日あたりの料金が累進的に高くなるよう設定されると説明しています。リーファー(冷凍)コンテナなど特殊コンテナは、一般的にドライコンテナよりフリータイムが短めに設定されているともしています。

フリータイムの日数、デマレージ・ディテンションの計算ルールと金額は、船会社ごとに異なります(JETRO)。数え方の違いの一例として、マースクの日本の輸入向け公表内容(2026年10月30日確認)を見ると、次のとおりです。

  • デマレージのフリータイム:各コンテナが本船から陸揚げされた日から数え始め、実入りコンテナがCYを出た日で終わる。ドライコンテナは1〜8日目が無料
  • ディテンションのフリータイム:実入りコンテナをCYから引き取った日から数え始め、空コンテナをデポに返した日(当日を含む)で終わる。ドライコンテナは1〜5日目が無料
  • 日数の数え方:フリータイムは土日を含み祝日を除いて数え、フリータイムを過ぎた後の超過日数は土日・祝日もすべて数える
  • 危険品:フリータイムの設定がなく、陸揚げ後すぐに引き取るよう求めている

一方、JETROが示す計算ルールの例では、フリータイムに土日祝日を含めないとされています。同じ日数でも、土日を数えるかどうかで実際の期限は変わります。JETROは、通関や荷役に時間がかかりそうな場合は、海上運賃の多寡だけでなくフリータイムの長短やデマレージ・ディテンションの額にも留意し、船会社に確認するよう勧めています。コンテナ輸送の基本はコンテナ輸送(FCL/LCL)で解説しています。

D/Oの電子化|NACCSと「D/Oレス」

D/Oは紙の書類としてやり取りされてきましたが、電子化も進んでいます。輸出入・港湾関連情報処理システム(NACCS)には、船会社などからCYへD/O情報を通知する「輸入貨物荷渡情報登録(DOR)」という業務があります。NACCSセンターの2010年3月の資料は、この業務を海上NACCS(Sea-NACCS)の既存業務の一つとして挙げたうえで、その改善や、CYからのコンテナ搬出業務のシステム化、デマレージ等のNACCSによる電子決済を事業化すると説明しています。

現在、船会社の中には紙のD/Oを発行しない「D/Oレス」に対応しているところがあります。確認できた例は次のとおりです。

  • マースク(日本向け案内):D/Oレスに対応しており、コンテナを引き取る前にNACCSのDOR上の表示を確認するよう求めています。A/Nと請求書は、ウェブサイトからPDFで入手する(指定アドレスへのメール配信もある)方式です。
  • ONE(オーシャン ネットワーク エクスプレス、日本向け案内):ウェブ上に「D/Oレス処理申込」の窓口を設けています。申込では入金状況やサイン入りA/Nなどを添付し、振込明細の金額とA/N上の金額が一致しないと処理を進められない、と案内しています。

D/Oレスでも、運賃の支払いやB/Lの手当てが不要になるわけではありません。紙のD/Oを受け取る手間が、船会社からCYへの電子的な引渡し情報に置き換わる、と理解しておくとよいでしょう。対応状況は会社や時期で変わるため、利用する船会社の案内で確認してください。なお、輸入申告そのものは、JETROによれば現在ほとんどの場合NACCSで行われています。

よくあるトラブルと対策

A/NとD/Oの周りで起きやすいトラブルを、税関・JETRO・船会社の資料で指摘されている点から整理します。貿易全般のトラブルは貿易トラブル事例と対策も参考にしてください。

トラブル起きること対策(資料で示されている方法)
貨物が着いたのにB/L原本がないB/Lと引き換えのD/Oが出ず、引き取れない取引開始前に海上運送状やサレンダードB/Lを検討する。決済が荷為替なら銀行保証付きのL/Gを差し入れる(JETRO)
フリータイムを過ぎるデマレージ・ディテンションが日数に応じて累進的にかかる船会社のフリータイムと数え方を事前に確認し、D/Oや他法令の手続きを前倒しする(JETRO)
振込額とA/Nの金額が合わないD/Oレス処理などが進まない支払い前に請求書とA/Nの金額を照合する(ONE)。A/Nに金額が出ない会社では請求書を確認する(マースク)
A/Nが見当たらない・届かない到着に気づかず手配が遅れる発行タイミングを確認し、船会社に問い合わせる。到着状況は輸送を依頼した船会社等に確認する(マースク、税関1102)
他法令の許可が取れていない輸入申告ができず、貨物が保税地域に留まる食品・動植物・医薬品などは申告前に関係省庁の手続きを済ませる(神戸税関・東京税関)
搬入確認が終わっていない原則として輸入申告ができない蔵置場所に搬入済みかを確認してから申告する(東京税関)

運送書類の記載も引取りに影響します。マースクの日本向け案内は、通知先(Notify Party)を「Same as Consignee」などで済ませず、名称・住所・電話番号を完全に記載し、日本国内の会社とするよう求めています。A/Nの宛先が不正確だと、通知が届かない原因になります。

よくある質問

Q. アライバルノーティスとデリバリーオーダーは、どちらが先に届きますか?

A. 先にA/Nが届きます。A/Nで請求された運賃や諸費用を支払い、B/Lを船会社に提出すると、引き換えにD/Oが出ます(神戸税関のチェックリスト)。海上運送状の場合は、A/Nに荷受人が署名して提出し、必要な費用を払うとD/Oが発行されます(JETRO)。

Q. A/Nが届けば、すぐに貨物を引き取れますか?

A. 引き取れません。A/Nは到着の通知と費用の請求であり、引換証ではありません。貨物をCYや倉庫から出すには、税関の輸入許可書と、船会社のD/O(またはD/Oレスの引渡し情報)が必要です(東京税関)。輸入申告も、原則として貨物が保税地域に搬入された後に行います(税関カスタムスアンサー1102)。

Q. デマレージとディテンションはどう違いますか?

A. デマレージはCYなどでフリータイムを超えて貨物が留め置かれたときの超過保管料、ディテンションはCYから引き取ったコンテナの返却がフリータイムを超えたときの返却延滞料です(JETRO)。日数の数え方や金額は船会社ごとに異なるので、利用する船会社の公表内容を確認してください。

まとめ

  • アライバルノーティス(A/N)は、船会社・航空会社・代理店・フォワーダーが輸入者側に出す到着通知です。蔵置場所や請求額などが載り、運賃明細書を兼ねることもあります。金額を請求書に分ける船会社もあります。
  • デリバリーオーダー(D/O)は荷渡指図書です。運賃等を支払い、B/Lを提出すると引き換えに出ます。貨物は輸入許可書とD/Oを提示して引き取ります。
  • B/L原本がない場合は、サレンダードB/L・海上運送状・保証状(L/G)でD/Oを得る方法があります。海上運送状ではA/Nに署名して提出するとD/Oが出ます。
  • 航空貨物はAWBが有価証券ではないため、荷受人であることを証明すれば原本なしで引き取れます。D/Oは航空会社から出ます。
  • 引取りが遅れるとデマレージ(超過保管料)やディテンション(返却延滞料)がかかります。フリータイムの日数と数え方は船会社ごとに違い、NACCSを使ったD/Oレスに対応する船会社もあります。

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参考・出典

※本記事は公開日時点の法令・税関・JETRO・船会社の公表資料にもとづく一般的な解説です。A/Nの書式、D/Oの発行方法、フリータイムや料金は船会社・航空会社・時期によって異なります。個別の貨物については、利用する船会社・フォワーダー・通関業者にご確認ください。

(公開日:2026-10-30/貿易ラボ編集部)

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