該非判定とは?やり方の流れ・項目別対比表・非該当証明書との違いをやさしく解説

該非判定とは? やり方の流れ・項目別対比表・ 非該当証明書との違い 規制・法務

該非判定(がいひはんてい)とは、輸出しようとする貨物や提供しようとする技術が、外為法の「リスト規制」に該当するか、非該当かを判定する手続きのことです。経済産業省はこう定義したうえで、判定の結果「該当」となった場合は、原則として経済産業大臣の許可が必要になると説明しています。

貿易事務や営業の仕事を始めると、ある日突然「この製品の該非判定、取っておいて」「該非判定書をメーカーにもらって」と頼まれることがあります。ところが、該非判定とは何を確かめることなのか、誰の責任で行うのか、非該当証明書や該非判定書とは何が違うのかは、意外と説明されないまま進みがちです。「武器なんて扱っていないから関係ない」と思っていると、一般の機械や電子部品、素材、さらにはソフトウェアや技術資料のやり取りでも判定が必要になる、という点を見落とします。

この記事では、経済産業省(経産省)の安全保障貿易管理のページ、外為法などの条文、一般財団法人 安全保障貿易情報センター(CISTEC)の公式情報をもとに、該非判定の意味と必要な理由、判定する人と責任の所在、5つのステップ、項目別対比表とパラメータシートの違い、「該当」「非該当」それぞれの次の対応、非該当証明書の位置づけ、よくある勘違いまでを整理します。外為法や安全保障貿易管理の全体像は外為法とはで解説しています。

  1. 該非判定とは|リスト規制に「該当」か「非該当」かを確かめる手続き
    1. 判定の対象は「貨物」と「技術」
    2. リスト規制の「リスト」はどこに書いてあるか
  2. なぜ該非判定が必要なのか|外為法の許可制度
    1. 規制に当たれば、どの国向けでも許可が必要
    2. 税関も「許可を受けたか、または不要か」を確認する
    3. 許可なく輸出した場合の罰則と行政制裁
  3. 誰が判定するのか|責任は「輸出者」にある
    1. 経産省は判定してくれない
    2. メーカーの判定書は使えるが、最後は自社で確認する
    3. 社内では「該非確認責任者」を置く
  4. 該非判定のやり方|5つのステップ
    1. マトリクス表とは
    2. 判定でつまずきやすい4つのポイント
  5. 項目別対比表とパラメータシート(CISTEC)
  6. 判定結果が「該当」だった場合
    1. 原則として経済産業大臣の許可を受ける
    2. 「該当」=輸出できない、ではない
  7. 判定結果が「非該当」だった場合|キャッチオール規制の確認が残る
    1. 非該当でも、用途と需要者の確認が要る
  8. 非該当証明書(該非判定書)とは
    1. 該非判定書と非該当証明書の関係
    2. 経産省に出す書類ではなく、税関などへの根拠資料
  9. 該非判定のよくある勘違い
  10. よくある質問
    1. Q. 該非判定は、いつ行えばよいですか?
    2. Q. 該非判定書とパラメータシートは別のものですか?
    3. Q. 判定に迷ったら、どこに相談できますか?
    4. Q. 輸入した貨物をそのまま送り返す場合も、該非判定は必要ですか?
  11. まとめ
  12. あわせて読みたい
  13. 参考・出典

該非判定とは|リスト規制に「該当」か「非該当」かを確かめる手続き

「該非」は「該当」と「非該当」を合わせた言葉です。チェックの物差しになるのは、外為法にもとづく「リスト規制」のリストです。

判定の対象は「貨物」と「技術」

経産省によれば、該非判定の対象は「輸出しようとする貨物」と「提供しようとする技術」です。経産省は例として、海外から「○○を分析する装置」の引合いを受けた場合、その装置だけでなく、内蔵されたプログラムや仕様書なども判定の対象になると説明しています。

ここでいう技術の提供には、プログラムを記録媒体に入れて送る、メールやクラウドで提供する、設計・製造・使用に必要な情報を外国にいる人に提供する、といった行為が含まれます。経産省は、契約書を交わすかどうか、有償か無償かは問わないとしています。

リスト規制の「リスト」はどこに書いてあるか

リスト規制は、国際的な輸出管理の枠組み(国際輸出管理レジーム)での合意をもとに、軍事転用の可能性が特に高い貨物・技術を法令で指定したものです。経産省の説明をもとに、どの法令に何が書いてあるかを整理すると次のとおりです。

確かめること貨物の場合技術の場合
品目(何が規制されるか)輸出貿易管理令(輸出令)別表第1の1〜15項外国為替令(外為令)別表の1〜15項
仕様・スペック(どの性能から規制か)輸出貿易管理令別表第1及び外国為替令別表の規定に基づき貨物又は技術を定める省令(貨物等省令)同左(貨物等省令)
用語の解釈輸出貿易管理令の運用について(運用通達)役務通達(外為法第25条第1項等にもとづく許可を要する技術提供についての通達)

つまり該非判定とは、自社の製品や技術を、この政令・省令・通達の記述と1つずつ照らし合わせる作業です。品目名が当てはまっても、省令で定める仕様(大きさ、容量、材質、性能など)に届かなければ「非該当」になります。

なお、輸出令別表第1には16項もあります。16項は、1〜15項に当たらない貨物を対象とする「キャッチオール規制」の項目で、該非判定の「該当/非該当」とは別の観点で確認します(後述)。

なぜ該非判定が必要なのか|外為法の許可制度

規制に当たれば、どの国向けでも許可が必要

外為法第48条第1項は、政令で定める特定の地域を仕向地とする特定の種類の貨物を輸出しようとする者は、経済産業大臣の許可を受けなければならないと定めています。技術の提供については第25条第1項が同じ仕組みを定めています。

経産省は、輸出しようとする貨物が輸出令別表第1の1〜15項に、提供しようとする技術が外為令別表の1〜15項に該当する場合は、輸出先や提供先がどの国であっても事前に経済産業大臣の許可を受ける必要があると説明しています。「友好国向けだから大丈夫」とはならない点が、リスト規制の大きな特徴です。

許可が要るかどうかを判断するには、まず自社の貨物・技術がリストに載っているかを知らなければなりません。該非判定は、この許可要否を判断するための出発点です。

税関も「許可を受けたか、または不要か」を確認する

輸出貿易管理令第5条第1項は、税関が経済産業大臣の指示に従い、輸出しようとする者が外為法の許可を受けていること、または許可を受けることを要しないことを確認しなければならない、と定めています。また関税法第70条は、他の法令で許可・承認が必要な貨物について、輸出申告の際にそれを受けている旨を税関に証明しなければならず、証明されない貨物は輸出を許可しないとしています。

経産省も、リスト規制・キャッチオール規制のいずれにも該当しないと判断した場合でも、税関で判定を適切に行っているかを問われる場合があるとしています。通関の流れは通関とはで解説しています。

許可なく輸出した場合の罰則と行政制裁

許可が必要な貨物を許可なく輸出した場合の主な罰則・制裁は、外為法の現行条文(2026年10月30日確認)で次のとおりです。

区分根拠条文内容
個人(行為者)への刑事罰第69条の7第1項第48条第1項の許可を受けない輸出:7年以下の拘禁刑もしくは2,000万円以下の罰金、または併科(目的物の価格の5倍が2,000万円を超えるときは、罰金は価格の5倍以下)
個人(核兵器等に関わる特に機微な貨物・技術)第69条の7第2項10年以下の拘禁刑もしくは3,000万円以下の罰金、または併科(価格の5倍が3,000万円を超えるときは価格の5倍以下)
法人への罰金(両罰規定)第72条第1項第69条の7第1項の違反:7億円以下、同条第2項の違反:10億円以下(いずれも価格の5倍が上回るときは価格の5倍以下)
行政制裁第53条第1項経済産業大臣は、許可を受けずに輸出した者に対し、3年以内の期間を限り、貨物の輸出や特定技術の提供などを禁止できる

このほか経産省は、無許可輸出などが判明した場合に、安全保障貿易検査官室が事後審査を行い、違反者に再発防止策を策定させると説明しています。

誰が判定するのか|責任は「輸出者」にある

経産省は判定してくれない

経産省はQ&Aで、該非判定は経済産業省では行わないので輸出者が責任をもって行うこと、と明言しています。判定結果が正しいかどうかの確認も、原則として行っていません。

ここでいう「輸出者」は、自社で通関手続きをする会社に限りません。CISTECのFAQは、経産省の運用通達の定義(輸出をしようとする者は、所有権を有する必要はないが、自己の責任において輸出しようとする者であることを要する)を引いたうえで、メーカーに輸出手続きを依頼して海外子会社へ直送させる商社なども「輸出をしようとする者」に当たりうる、と解説しています。商社の営業や貿易事務の立場でも、自分ごととして捉える必要があります。

メーカーの判定書は使えるが、最後は自社で確認する

自社で製造していない製品を輸出する場合、判定に必要なスペック情報はメーカーが持っています。経産省は、輸出者が判断できない場合は製造者等から該非判定書を入手して使用して差し支えないとしつつ、輸出者が判定結果を確認し、輸出者が責任をもって判定した結果とするよう求めています。

さらに経産省は、メーカーなどの該非判定書に誤りがあり「該当」のものを「非該当」として輸出した場合でも、外為法違反の責任を問われるのは輸出等を行う者である、と注意を促しています。メーカーの判定書をそのまま転送して終わり、にはできないということです。

社内では「該非確認責任者」を置く

外為法第55条の10は、輸出等を業として行う者が守るべき「輸出者等遵守基準」を定めるとしています。これを受けた省令(輸出者等遵守基準を定める省令)第1条は、輸出者等に対し、該非確認の責任者(該非確認責任者)を選任すること、輸出等の業務に従事する者に最新の法令を周知し必要な指導を行うことを求めています。

社内の関係者と役割を整理すると、次のようになります。

関係者主な役割根拠・出典
輸出者(自社)判定の最終責任を負う。メーカーの判定書も自社で内容を確認する経産省 Q&A・マトリクス表のページ
該非確認責任者判定結果を確認し、組織として決裁する輸出者等遵守基準を定める省令 第1条第1号イ/経産省
設計・製造担当(自社製品の場合)スペックが分かる資料を提供し、判定に協力する経産省(STEP2)
メーカー・代理店(他社製品の場合)カタログや該非判定書などの情報を提供する経産省(STEP2)
経済産業省判定はしない。許可申請の審査、相談窓口経産省 Q&A
CISTEC判定用の帳票の発行、対面相談、該非判定支援サービス(いずれも有料のものを含む)CISTEC公式

なお経産省の資料では、リスト規制品に当たるかを確認する責任者を定める義務がある、と強調されています。新人が判定作業を担当する場合も、最終的な決裁は社内の責任者が行う仕組みになっているはずなので、自社の輸出管理規程(社内規程)を最初に確認しておくとよいでしょう。

該非判定のやり方|5つのステップ

経産省は、該非判定の手順を5つのステップで示しています。これに、判定後の記録・保存を加えて整理すると次のとおりです。

ステップやることポイント
STEP1 対象の特定輸出する貨物・提供する技術を特定する装置本体だけでなく、内蔵プログラムや仕様書などの技術も対象になる
STEP2 情報の収集カタログ、製品説明書、仕様書などスペックが分かる資料を集める自社製品は設計・製造担当に確認。他社製品はメーカーや代理店から該非判定書を含む情報を入手
STEP3 法令との照合経産省の「貨物・技術のマトリクス表」(Excel)で、名称・関連用語・類義語を幅広く検索する法令上の名称は一般名称と違うことがある
STEP4 該当・非該当の判定ヒットした項目の機能・仕様・用語の解釈と、STEP2の情報を照らし合わせる仕様に合致すれば「該当」。ヒットしない、または仕様に合致しなければ「非該当」
STEP5 社内決裁判定結果をもとに該非判定書を作り、責任者の決裁を得る責任者は対象の誤り、法令への合致、最新法令で判定したかを確認する
判定後 記録・保存判定結果と根拠を一覧表などで管理する法令改正がない限り原則として再判定は不要。改正時は見直す

経産省は、一度該非判定をしたものは、それ以降にリスト規制の関係法令の改正が行われない限り、原則として再度判定する必要はないとしています。判定結果や根拠を一覧表に整理して管理すると効率的だ、とも説明しています。

マトリクス表とは

マトリクス表は、規制対象の貨物・技術を定めた政令・省令・通達の規定を、輸出令別表第1・外為令別表の項番(1〜15項)ごとにExcelの一覧表にまとめたものです。経産省のページで無料で公開されており、2026年10月30日時点の最新は「令和8年2月14日施行対応版」(貨物・技術・合体の3種類)です。

判定でつまずきやすい4つのポイント

経産省は、該非判定の注意点として次の点を挙げています。

  1. 最新の法令で判定する:リスト規制の品目は、原則として毎年改正が行われます。古い判定書を使い回すと、改正で「該当」に変わっていても気づけません。
  2. 1つの貨物が複数の項目で規制されることがある:たとえば工作機械は、核兵器関連(2項)と通常兵器関連(6項)の両方で規制されています。1つヒットしたところで検索をやめないことが大切です。
  3. 部分品・附属品も対象になりうる:法令は「ポンプ又はその部分品」のように規定しているため、部品を輸出するときは、それが何の部品かを確かめ、元の製品名でも検索します。
  4. 法令上の名称は一般名称と違うことがある:経産省は例として、「GPS」が法令では「衛星航法システムからの電波を受信する装置」と規定されていることを挙げています。経産省は「読み替えが必要な用語(例)」の一覧も公開しています。

項目別対比表とパラメータシート(CISTEC)

マトリクス表で調べた結果を書面に残すとき、実務でよく使われるのが、CISTECが発行している「項目別対比表」と「パラメータシート」です。CISTECはこれらを「該非判定帳票」と呼び、輸出する貨物や提供する技術が法令で規制されたものかどうかをチェックするシート(該非判定書)で、主に通関時や許可申請時に使うと説明しています。

CISTECのFAQをもとに、2つの違いを整理すると次のとおりです。

比較項目項目別対比表パラメータシート
判定できる範囲リスト規制の全項目(貨物と技術)分野ごとに、関連する項番をまとめたもの
主な分野(全分野)コンピュータ、通信・情報セキュリティ、エレクトロニクス、音響センサー・レーダー、先端材料関連、化学製剤原料関連、輸出令別表第2関連
構造政省令の条文そのものを並べたシンプルな構造フローチャート形式。条文を熟知していなくても一通りの判定ができる構造
CISTECの案内初心者にはこちらをすすめているどちらも通関・許可申請に使えるので、使い勝手の良い方を選ぶよう案内
最新版(2026年10月30日時点のCISTEC掲載)2026年2月版2026年2月版(別表第2関連は2026年6月版)

いずれも有料の書籍で、電子版はCISTECの「総合データベース」の該非判定コーナー(契約制)で提供されています。CISTECは、該非判定書には法令で定められた様式はないものの、自作のものには条文やスペックが正しくないものも見受けられるとして、自社で作る場合も項目別対比表やパラメータシートの利用をすすめています。

集積回路(IC)については、メーカーが自主判定で非該当とした型番を一覧にした「公表リスト」(自主判定結果公表制度による公表リスト)もあり、CISTECはこれも該非判定書になると説明しています。

判定結果が「該当」だった場合

原則として経済産業大臣の許可を受ける

該非判定で「該当」となった場合、原則として輸出や技術提供の前に経済産業大臣の許可が必要です。経産省が示す流れでは、次の順に確認します。

  1. 特例が使えるか:貨物や技術の種類・形状・価格・使用目的などによっては、無償特例や少額特例、部分品特例などを適用して許可が不要になる場合があります。経産省は、特例の適用を誤ると法令違反になるため、輸出者として責任をもって判断するよう求めています。
  2. 包括許可を持っているか:輸出管理の体制を整えた事業者は、一定の範囲をまとめて許可する包括許可を受けている場合があります。
  3. 個別許可を申請する:特例・包括許可が使えなければ、個別許可を申請します。申請はNACCSの外為法関連業務による電子申請で行い、提出書類は該当項番と仕向地の組み合わせで決まります。

「該当」=輸出できない、ではない

該当と判定されると「この製品は輸出できない」と受け止めてしまいがちですが、そうとは限りません。CISTECのFAQは、武器(1項)を除く2〜15項の貨物は、民生用途に使われることを説明できれば、原則として許可を取得して輸出できると解説しています。ただし、大量破壊兵器などへの懸念が高い取引は許可されない場合もあるため、契約に「政府の許可が得られるまで発効しない」旨の条項を入れるなどの注意が必要だ、ともしています。

判定結果が「非該当」だった場合|キャッチオール規制の確認が残る

非該当でも、用途と需要者の確認が要る

該非判定で「非該当」となっても、確認はまだ終わりではありません。経産省は、リスト規制品以外のものでも、大量破壊兵器等や通常兵器の開発などに用いられるおそれがあることを輸出者が知った場合、または経済産業大臣から許可申請をすべき旨の通知(インフォーム通知)を受けた場合には、許可が必要になると説明しています。これが「キャッチオール規制」です。

経産省の「非該当証明書発行に当たってのポイント」も、輸出令別表第1の1〜15項に当てはまらない場合でも通常は16項に当てはまるので、輸出者は用途や需要者のチェックをするように、と注意しています。

比較項目リスト規制(該非判定で確認)キャッチオール規制
対象輸出令別表第1・外為令別表の1〜15項に定める貨物・技術1〜15項に当たらない貨物・技術のうち、食料や木材等を除くほぼ全て(16項)
確認すること品目と仕様がリストに合致するか用途(兵器開発などに使われないか)と需要者(相手が兵器開発などを行っていないか、外国ユーザーリストに載っていないか)
許可が必要になる場合該当すれば、仕向地を問わず原則として許可が必要客観要件(用途・需要者の確認でおそれがある)またはインフォーム要件(経産省から通知を受けた)に当たる場合
仕向地による違いなし(全地域)輸出令別表第3の地域(米国、英国、ドイツ、韓国など27か国)向けは客観要件の対象外。インフォーム要件は迂回輸出のおそれがある場合に限って適用

経産省は、キャッチオール規制の許可が必要かどうかを確かめるための「手続きフロー図」と「客観要件確認シート」を公開しています。許可申請が不要と判断した場合も、判断に至った経緯を社内規程に従って保存するよう求めています。キャッチオール規制の仕組みは外為法とはでも解説しています。

キャッチオール規制の対象品目は、関税定率法別表の類(第25類〜第40類、第54類〜第59類、第63類、第68類〜第93類、第95類)で示されています。品目分類の考え方はHSコードとはを参照してください。

非該当証明書(該非判定書)とは

該非判定書と非該当証明書の関係

実務では「該非判定書」「非該当証明書」「非該当判定書」など、似た名前の書類が飛び交います。整理すると次のとおりです。

  • 該非判定書:リスト規制に該当するか否かを判定した書類(CISTEC)。経産省も、STEP5で判定結果をもとに「該非判定書」を作成し責任者の決裁を得る、と説明し、参考様式を公開しています。
  • 非該当証明書:該非判定の結果、非該当と判断されたものについて、そのことを示す書類。CISTECは「非該当と判断されたものは『非該当証明書』と言っている企業等もある」と説明しています。

つまり非該当証明書は、該非判定書のうち結論が「非該当」だったものを指す呼び方、と考えると分かりやすいでしょう。

経産省に出す書類ではなく、税関などへの根拠資料

経産省は、リスト規制・キャッチオール規制のいずれにも該当しないと判断した場合は許可を取得する必要はないとしたうえで、税関で判定を適切に行っているか問われる場合があるため、非該当証明書を根拠資料として用意することを推奨しています。そして、非該当証明書は経産省の定める様式ではなく、経産省へ提出するものでもないため、様式は任意だと明記しています(参考様式は公開されています)。

メーカーに非該当証明書を求める場合について、経産省は、現行の規制リストの仕様に照らして1〜15項のいずれにも当てはまらない根拠をメーカーに確認しておく必要がある、としています。判定書に施行日(どの時点の法令で判定したか)が書かれているかも確認ポイントです。CISTECのFAQは、法令の改正をまたぐ場合、税関の確認は輸出申告の時に行われるため、通関日が施行日以降なら改正後の判定書を使うよう説明しています。

なお、該非判定書や非該当証明書の具体的な書き方・書式の細部は、CISTECの帳票や経産省の参考様式に従って作るのが基本です。本記事では書式の詳細には立ち入りません。貿易書類全体の中での位置づけは貿易書類の基礎も参考にしてください。

該非判定のよくある勘違い

初めて該非判定に関わる人がつまずきやすい点を、公的な説明と並べて整理します。

よくある勘違い実際(出典)
該非判定は経産省がしてくれる経産省は判定も結果の確認も行わない。輸出者が責任をもって行う(経産省 Q&A)
メーカーの判定書があれば自社は確認不要使用はできるが、輸出者が内容を確認する。誤りがあっても責任を問われるのは輸出者(経産省)
非該当なら何も気にせず輸出できる1〜15項に非該当でも通常は16項に当たるため、用途・需要者の確認(キャッチオール規制)が必要(経産省)
一度取った判定書はずっと使えるリスト規制は原則毎年改正。法令改正があれば見直しが必要(経産省)
中古品やサンプル、EMSで送る少量品は対象外中古品でも輸出するなら該非判定は必要。国際郵便や国際宅配便で送る場合も輸出であることに変わりない(CISTEC FAQ)
モノを送らなければ関係ない技術の提供(プログラムのメール送付、クラウドでの共有、技術指導など)も規制対象になりうる(外為法第25条/経産省)
友好国向けなら許可は要らないリスト規制に該当すれば、仕向地を問わず原則として許可が必要(経産省)

もう1つ見落としやすいのが、国内取引です。外為法第48条の義務を負うのは「輸出をしようとする者」ですが、CISTECのFAQは、国内の取引先から該非判定書を求められ、その後輸出されることが明らかな場合は、少なくとも該非判定書を提供することをすすめています。メーカーや卸の立場で依頼を受けることもある、と覚えておくとよいでしょう。

よくある質問

Q. 該非判定は、いつ行えばよいですか?

A. 輸出や技術提供の前、できれば引合いや契約の段階で行います。該当なら許可申請が必要になり、許可が出るまでは輸出できないため、納期に影響するからです。CISTECのFAQも、リスト規制やキャッチオール規制に当てはまる場合は、原則として輸出(通関手続きを行う前)や技術提供の前に経済産業大臣の許可が必要だと説明しています。

Q. 該非判定書とパラメータシートは別のものですか?

A. 別の書類というより、パラメータシートは該非判定書の「形式の1つ」です。CISTECは、項目別対比表とパラメータシートのどちらも該非判定書になり、通関や許可申請に使えると説明しています。リスト規制の全項目を網羅するのが項目別対比表、分野ごとにフローチャート形式でまとめたのがパラメータシートです。

Q. 判定に迷ったら、どこに相談できますか?

A. 経産省は、問い合わせの前に、マトリクス表で示されている解釈と分野別Q&Aを確認し、自社製品なら設計・製造担当、他社製品ならメーカーに確認するよう求めています。キャッチオール規制の要否が判断しにくい場合は、経産省の安全保障貿易審査課に事前相談ができます。CISTECも、対面相談や、作成した該非判定書を第三者として確認する「該非判定支援サービス」を設けています。

Q. 輸入した貨物をそのまま送り返す場合も、該非判定は必要ですか?

A. 原則として必要です。CISTECのFAQは、輸入通関前に保税蔵置場で保管している誤送品を送り返すだけでも、外為法上は「輸出」に変わりはなく、通常の輸出貨物と同様に該非判定が必要だと説明しています(一定の条件で包括許可を使える場合もあります)。保税の仕組みは保税とはで解説しています。

まとめ

  • 該非判定とは、輸出する貨物・提供する技術が、外為法のリスト規制(輸出令別表第1・外為令別表の1〜15項)に該当するかを確かめる手続きです。品目と、貨物等省令で定める仕様の両方を照らし合わせます。
  • 判定は経産省ではなく輸出者が責任をもって行います。メーカーの該非判定書は使えますが、内容は自社で確認し、社内の該非確認責任者が決裁します。
  • やり方は、対象の特定→情報収集→マトリクス表で照合→判定→社内決裁の5ステップ。最新法令で、複数項目・部分品・名称の違いに注意して確認し、結果と根拠を記録します。
  • 「該当」なら原則として経済産業大臣の許可が必要(特例・包括許可の確認を含む)。「非該当」でも、キャッチオール規制として用途と需要者の確認が残ります。
  • 非該当証明書は、非該当と判断した結果を示す書類です。経産省に提出するものではなく様式も任意ですが、税関などに判定の根拠を示すために用意しておくことがすすめられています。

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参考・出典

※本記事は2026年10月30日時点の法令と経済産業省・CISTECの公表資料にもとづく一般的な解説であり、法的助言ではありません。リスト規制の品目・仕様は原則として毎年改正されます。個別の貨物・技術の判定や許可の要否は、最新の法令を確認のうえ、経済産業省(安全保障貿易審査課など)、CISTEC、専門家にご確認ください。

(公開日:2026-10-30/貿易ラボ編集部)

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