貿易事務とは?仕事内容・1日の流れ・年収・未経験からなる方法をやさしく解説

貿易事務とは? 仕事内容・1日の流れ・年収・ 未経験からなる方法 始め方・ビジネス

貿易事務とは、営業部門と連携しながら、輸出入に必要な書類を作成し、通関や貨物輸送の手配、代金決済の手続きを進める仕事です。厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、「原材料や商品の輸出・輸入といった海外との取引を行う際に、営業部門と連携しながら、必要なデータや情報を整理して、契約に必要な書類を作成したり、貨物輸送の手配を行う」仕事と説明されています。

「事務」という名前から、伝票の入力やファイリングを想像する人もいるかもしれません。ところが実際には、輸出入の規制を調べたり、HSコード(関税分類の番号)を管理したり、船の動きを追って納期を調整したりと、判断を伴う仕事が多く含まれます。英語はどの程度必要なのか、未経験からでもなれるのか、年収はどのくらいなのか、気になる点は多いはずです。

この記事では、job tagの「貿易事務」(職業ID 439)に掲載されたタスクの実施率、能力プロフィール、賃金統計を中心に、ジェトロ(日本貿易振興機構)や税関の公表資料もあわせて、貿易事務の実像を整理します。数字にはすべて調査名と年次を添えています。

貿易事務とは|job tagの定義と別名

job tagでは、貿易事務は独立した職業として収録されています。基本情報は次のとおりです。

項目job tagの記載
職業名貿易事務(職業ID 439)
別名通関業務係、輸出入事務員
職業分類貿易事務員(厚生労働省編職業分類)
属する産業卸売業、小売業
よく使う道具表計算ソフト(Excel、Googleスプレッドシート等)、パソコン
関連資格通関士
類似する職業国際公務員、通関士

job tagの説明によると、貿易事務の仕事は大きく3つの層に分かれます。

1つ目は、取引を決めるための下調べです。輸出入する商品や原材料の値段・数量・取引先の情報を集めて整理し、その商品に輸出入の許認可や検査が必要かどうかを、相手国と国内の法律に照らして調べます。

2つ目は、商談がまとまった後の書類づくりです。取引金額、決済方法、数量、輸送手段、納期、保険などが決まると、インボイス、船荷証券、梱包明細書などの輸出入書類を作成します。

3つ目は、貨物が動き出してからの管理です。商品の到着予定や船便の運行状況を把握して問い合わせに答え、輸入品の国内配送の手続きや在庫管理も行います。

job tagはまた、「現在、貿易手続はインターネットを利用した電子化が進められている」とも記しています。ジェトロによれば、日本の輸出入申告は現在ほとんどの場合、通関業者・税関などをオンラインで結ぶ輸出入・港湾関連情報処理システム(NACCS)で行われています。

貿易事務の仕事内容|23のタスクと実施率

job tagには、貿易事務のタスクが23項目掲載され、それぞれ「実際にそのタスクを行っている人の割合(実施率)」と「重要度(5点満点)」が示されています。分野ごとに並べ替えると、次のようになります。

分野タスク実施率重要度
調査・法令輸出入の許可や承諾、検査の必要の有無などに関する相手国と国内の法律を調査する94.3%3.7
調査・法令輸出入をする商品や原材料の値段、数量、取引先の情報を収集し、整理する92.5%3.5
調査・法令安全保障貿易に関する確認をする79.3%3.1
手続き・書類取扱い商品の輸出入の許可や検査に関する手続きをする96.2%3.8
手続き・書類契約書や輸出入に関する各種書類を作成する94.3%3.9
手続き・書類貨物の通関手続きをする88.7%3.8
手続き・書類統計品目コード(HSコード)の採番や管理をする83.0%3.1
手続き・書類外国の書類の翻訳をする84.9%3.0
手続き・書類商品のパッケージや表示を作成する62.3%2.6
物流・納期納期の管理や調整をする94.3%3.9
物流・納期商品の到着予定や船便の運行状況を把握し、関係者からの問い合わせに対応する92.5%3.9
物流・納期輸出入品の在庫を管理する84.9%3.3
物流・納期輸入されてきた商品を国内に配送する手続きをする83.0%3.6
物流・納期危険物の管理をする56.6%3.2
決済・リスク輸入代金の支払い手続きをする79.3%3.6
決済・リスク銀行での外国為替事務や為替管理をする62.3%3.1
決済・リスク信用状などにより信用リスクを管理する60.4%3.3
決済・リスク売上の管理など経理関係の業務をする81.1%3.2
社内外の調整営業部門と連絡をとり、連携して行動する94.3%3.1
社内外の調整仕入先との交渉や調整をする86.8%3.8
社内外の調整外国の顧客の通訳をする67.9%3.1
社内外の調整海外の新規顧客を開拓する71.7%2.7
社内外の調整AEO事業所として自主監査をする54.7%3.0

※出典:厚生労働省 job tag「貿易事務」。分野の区分は編集部によるもので、job tagの区分ではありません。job tagには「実施順は、必ずしもこの順番どおりにタスクが実施されているとは限りません」という注記があります。

この表から読み取れることを3つ挙げます。

第一に、重要度が最も高い3.9のタスクは「書類の作成」「納期の管理や調整」「到着予定や船便の運行状況の把握と問い合わせ対応」の3つです。書類と納期とモノの動きを、同時に正確に回すことが仕事の中心だといえます。

第二に、「法律を調査する」の実施率が94.3%、「安全保障貿易に関する確認」が79.3%と、法令の確認が日常業務に入っています。輸出してはいけない貨物や相手ではないかを確かめるのも貿易事務の役割です。制度の概要は外為法とはと輸出入の規制・禁止品目で解説しています。

第三に、「海外の新規顧客を開拓する」も71.7%が実施しています。会社によっては営業に近い仕事まで担う職種だということです。商社の営業と貿易事務の役割分担は商社の仕事内容とは?営業と貿易事務が実際にやっていることで比較しています。

輸出・輸入それぞれの業務の流れ

貿易事務の仕事は、輸出か輸入かで順番が変わります。ジェトロの「貿易実務の流れ」と貿易・投資相談Q&Aの説明に、job tagのタスクを重ねると、おおむね次のような流れになります。実際の分担は、会社や取引条件、利用する物流業者によって異なります。

輸出の流れ

段階貿易事務が関わる主な作業詳しく知る
契約前相手国・国内の規制や許認可の要否を調べる。安全保障貿易管理の確認、HSコードの確認HSコードとは
契約契約書の作成。取引条件(インコタームズ)と決済方法を営業と確認インコタームズとは
船積み準備インボイス・パッキングリストを作成。仕向け地へ運ぶ船腹の手配(ブッキング)。FOB契約では買主が船を予約する貿易書類の基礎、FOBとは
通関海運・通関業者に船積依頼書で通関と船積みを依頼。業者が税関に輸出申告し、税関が輸出許可を出す通関とは
船積み船会社が船積みし、船荷証券(B/L)を発行。輸出許可書・B/Lなどの船積書類を受け取る船荷証券(B/L)とは
代金回収荷為替手形に船積書類を添えて銀行に提示する(荷為替決済の場合)。送金の着金確認など信用状(L/C)とは

輸入の流れ

段階貿易事務が関わる主な作業詳しく知る
到着前輸出者からの船積通知(Shipping Advice)や船会社の到着通知(Arrival Notice)を確認し、起用する海貨・通関業者に荷受けと通関を依頼フォワーダー・乙仲とは
書類の入手L/C・D/P・D/Aの場合は、代金決済や手形の引き受けと引き換えに銀行から船積書類を入手。B/Lに裏書きして海貨業者に渡す貿易決済の方法
貨物の搬入海貨業者がB/Lと引き換えに荷渡指図書(D/O)を受け取り、貨物を保税地域に搬入保税とは
輸入申告通関業者が税関に輸入(納税)申告。必要に応じて審査・検査を受け、関税・消費税を納付関税とは
引き取り輸入許可を得て貨物を引き取り、国内の配送を手配。在庫を管理輸出入手続きの流れ
支払い輸入代金の支払い手続き。外国為替の事務為替リスクと対策

ジェトロは、貿易実務では「商品、代金、書類と情報(届出)の流れが同時並行で動く」と説明しています。貿易事務は、この3つの流れがずれないよう見張る役といえます。たとえば船は予定どおり着いたのに書類が銀行に届いていない、といったずれが起きると、貨物を引き取れません。ジェトロは、近距離の貨物で船積書類が届く前に貨物が着いた場合、銀行の連帯保証のある保証状(L/G)を船会社に差し入れて貨物を先に引き取る方法を紹介しています。

保険については、job tagの説明でも商談で決める項目に「保険」が含まれています。貨物にかける保険や貿易保険の考え方は貿易保険とはをご覧ください。

働く場所と働き方

job tagによると、貿易事務の勤務先は商社や通関業者などです。海外と直接取引をする大手メーカーや、百貨店の海外事業部で働く場合もあります。商社などから通関手続きの代行を委託されている通関業者で、スタッフとして働く人もいます。職場は本社が集まる都市部が多いとされています。

所属する部署もさまざまです。job tagは、企業によっては「法務・審査、財務・経理、保険、運輸・通関などの様々なセクションのスタッフとして、営業部門と連携して貿易事務を行っている」と記しており、一般事務と兼務することもあるとしています。

働き方については、job tagに「この職業で実際に働いている人が多いと感じる就業形態」の回答が載っています。

就業形態割合
正規の職員、従業員83.0%
派遣社員17.0%
契約社員、期間従業員15.1%
パートタイマー5.7%
経営層(役員等)5.7%
自営、フリーランス1.9%
アルバイト(学生以外/学生)各1.9%

※出典:厚生労働省 job tag「貿易事務」。job tagの掲載値をそのまま転記しています。各項目の合計は100%になりません。

正社員が中心ですが、派遣社員や契約社員として働く人がいると感じている回答も一定数あります。勤務形態はオフィス内での業務が中心で、業務内容によっては銀行などの関係機関に出向くこともあるとされています。

勤務先によって扱う範囲は変わります。商社やメーカーでは自社の取引の書類・納期管理が中心になり、通関業者では顧客から依頼された通関手続きの実務が中心になる、という違いがあります。物流業者の役割はフォワーダー・乙仲とは、商社の業態は貿易会社とは(商社との違い)で整理しています。

貿易事務の1日の流れ(例)

1日の過ごし方は、会社・担当する国・輸出か輸入かで大きく変わります。ここでは、job tagのタスクをもとに、メーカーの輸出入を担当する場合の1日を「例」として組み立てました。特定の企業の実例ではありません。

時間(例)内容(例)対応するjob tagのタスク
9:00メールの確認。海外の取引先や船会社・フォワーダーからの連絡を確認し、急ぎの案件を仕分ける営業部門との連携、仕入先との調整
9:30本船の動静(出港・到着予定)を確認し、遅れがあれば営業と顧客に共有到着予定・船便の運行状況の把握
10:30出荷予定の案件のインボイス・パッキングリストを作成各種書類の作成
11:30フォワーダーに船積みを依頼。ブッキング内容と貨物の搬入日を確認納期の管理や調整
13:00新規の商品について、輸出規制の該当性とHSコードを確認法律の調査、安全保障貿易の確認、HSコードの管理
14:30輸入貨物の通関状況を通関業者に確認し、国内配送を手配通関手続き、国内配送の手続き
15:30輸入代金の支払い手続き、銀行への書類提出輸入代金の支払い手続き、外国為替事務
16:30営業と翌週以降の出荷計画をすり合わせ、在庫を確認営業部門との連携、在庫管理
17:30翌日の締切(書類の提出期限・搬入期限)を確認して退社納期の管理や調整

job tagの「労働条件の特徴」には、「就業時間は規則的なことが多く基本的には残業が少ない。土日祝日は休みとなることが多い」と書かれています。仕事の性質でも「規則的(ルーチンやスケジュールが決まっている)」に「当てはまる」とされています。もちろん、繁忙期や船の遅延が重なった日の負荷は職場によって違います。

年収・労働時間・求人の状況

job tagの貿易事務のページには、賃金や労働時間の統計が掲載されています。ただし、これらは「貿易事務員」等に対応する職業分類の統計で、job tag自身が「必ずしもその職業のみの統計データを表しているものではありません」と注記しています。貿易事務だけの平均値ではなく、近い職業を含む広い分類の数字として読んでください。

指標全国の値出典(調査名・年次)
賃金(年収)525.1万円令和7年賃金構造基本統計調査を加工
労働時間(月間の所定内労働時間)158時間令和7年賃金構造基本統計調査を加工
平均年齢43.3歳令和7年賃金構造基本統計調査を加工
1時間当たり賃金(一般労働者)2,605円令和7年賃金構造基本統計調査を加工
1時間当たり賃金(短時間労働者)1,530円令和7年賃金構造基本統計調査を加工
求人賃金(月額)26.3万円(前年度差+0.6万円)ハローワーク求人統計、令和7年度
有効求人倍率0.25ハローワーク求人統計、令和7年度

※出典:厚生労働省 job tag「貿易事務」(2026年10月2日確認)。

数字を読むときの注意点を整理します。

  • 年収525.1万円は、賃金構造基本統計調査の「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で計算した値です。賞与を含みます。
  • 1時間当たり賃金は、一般労働者は残業代と賞与を含み、短時間労働者は含みません。同じ「時給」でも定義が違います。
  • 求人賃金と有効求人倍率は、ハローワーク(公共職業安定所)に出された求人の統計です。民間の求人サイトや人材紹介の求人は含まれません。在職者の賃金(年収)とは別の統計なので、単純に比べることはできません。
  • 有効求人倍率0.25は、ハローワークでは求職者1人に対して有効求人が0.25件という意味です。少なくともハローワーク経由では、希望者に比べて求人が少ない状況といえます。

job tagでは都道府県を選ぶと地域別の数値も表示されます。働きたい地域が決まっている場合は、そちらも確認するとよいでしょう。

必要なスキルと英語力

job tagの「しごと能力プロフィール」から、貿易事務で数値が高い項目を抜き出します。スキルは1〜7、知識と仕事の性質は1〜5の尺度で、数値が大きいほどその仕事で求められる水準や重要度が高いことを表します。

区分項目数値
スキル(1〜7)傾聴力4.3
スキル(1〜7)文章力4.2
スキル(1〜7)読解力/説明力4.1
スキル(1〜7)外国語を読む4.0
スキル(1〜7)外国語で書く3.8
スキル(1〜7)外国語を聞く/外国語で話す3.5/3.3
スキル(1〜7)交渉3.6
知識(1〜5)事務処理3.2
知識(1〜5)輸送3.1
知識(1〜5)外国語の語彙・文法2.7
仕事の性質(1〜5)厳密さ、正確さ4.1

英語力については、根拠のある範囲で次のように言えます。

job tagのスキル尺度では、「外国語を読む」のレベル4の例が「外国語の新聞記事を理解する」、「外国語で書く」のレベル4の例が「契約内容の変更について、取引先に外国語のメールで説明する」とされています。貿易事務は「読む」が4.0、「書く」が3.8なので、取引先と外国語のメールや書類をやり取りできる水準が目安になります。「聞く」3.5、「話す」3.3と比べると、読み書きの比重が高い職業です。

入職時の条件について、job tagは「語学力は業務を行う上で必要であり、採用にあたり一定水準の語学力を求める企業もある。多くの企業は入職後に語学研修を実施し、語学力の向上を図っている」と記しています。特定の試験の点数を一律の条件とする公的な基準はありません。求められる水準は会社や担当業務によって違うため、応募先の募集要項で確認してください。

外国語以外では、「厳密さ、正確さ」が4.1と高く出ています。書類の数字や品名が1か所違うだけで、通関が止まったり、信用状取引で代金を受け取れなくなったりするためです。インボイスやB/Lの整合が大切な理由は貿易書類の基礎で解説しています。

役立つ資格と、未経験から目指す方法

必須の資格はない

job tagは、貿易事務について「入職にあたって、特に学歴や資格は必要とされない」と明記しています。そのうえで「通関士など関係する資格があれば、貿易事務の関連部門に配属されることもある」としています。資格は必須ではないものの、配属や知識の証明に役立つ、という位置づけです。

資格種類・主催内容詳しく知る
通関士国家資格(通関業法にもとづき税関が試験を実施)通関手続きの専門資格。job tagの貿易事務ページで関連資格として掲載通関士とは
貿易実務検定民間検定(日本貿易実務検定協会)A級・B級・C級。C級は「定型業務をこなすために必要な知識があることを証明するレベル」で、科目は貿易実務と貿易実務英語。受験料は税込6,270円貿易実務検定とは

貿易実務検定の各級の受験料は、A級が税込12,760円、B級が税込7,480円、C級が税込6,270円です(2026年10月2日時点の公式サイト)。C級の合格基準は2科目合計200点中160点(80%)を基準とし、Web試験で実施されています。日程や料金は変わることがあるため、受験前に公式サイトで確認してください。

未経験から目指すときに知っておきたいこと

job tagには、実際に働いている人への調査で、入職前に必要と考える期間の回答が載っています。

項目「特に必要ない」主なその他の回答
入職前の訓練期間(学歴を除く)47.2%1ヶ月超〜6ヶ月以下 9.4%/わからない 18.9%
入職前の実務経験43.4%3年超〜5年以下 13.2%/わからない 17.0%
入職後、一人前に働けるまでの期間「必要でない」13.2%6ヶ月超〜1年以下 22.6%/2年超〜3年以下 17.0%

※出典:厚生労働省 job tag「貿易事務」。

入職前の訓練や実務経験を「特に必要ない」とする回答はいずれも4割台です。一方で、job tagが選んでいる「未経験でも比較的入りやすい職業」(実務経験と訓練期間の両方で「特に必要ない」〜「1ヶ月未満」が50%以上の職業)の一覧には、貿易事務は含まれていません(2026年10月2日確認)。入職後に一人前になるまでの期間も、1年を超えるという回答が合わせて37.7%あります。

また、job tagは「中途採用については、経験者が求められる傾向にある」と記しています。未経験から目指す場合は、次のような道筋が考えられます。

  • 新卒で商社・メーカーなどに入り、研修を経て貿易事務の部門に配属される。job tagによれば、配属先は新入社員研修の過程で本人の適性や希望をふまえて決まる場合があり、配属後も語学研修や貿易実務、経理などの研修が用意されているとされています。
  • 貿易実務検定などで基礎知識を身につけ、知識があることを示せるようにしておく。ジェトロも貿易実務オンライン講座を提供しています。
  • 一般事務や営業事務など、近い職種で書類作成や納期管理の経験を積む。job tagは貿易事務が「一般事務と兼務することもある」と記しています。

なお、学歴について、job tagの「この職業で実際に働いている人が多いと感じる学歴」では大卒が71.7%、高卒が22.6%でした。これは働いている人の実感を示すもので、必須条件ではありません。

「きつい」と言われる点と、向いている人

数字で見る大変さ

「貿易事務はきつい」という声を見かけることがありますが、job tagの「仕事の性質」で裏付けが取れるのは次の点です。

仕事の性質数値(1〜5)尺度の意味
電子メール4.85=ほぼ毎日使う
他者とのかかわり4.55=ほぼ毎日
厳密さ、正確さ4.14=とても重要
電話での会話4.14=週に1度以上
同一作業の反復3.73=重要/4=とても重要
時間的切迫(厳格な締め切り)3.43=月に1度以上/4=週に1度以上
ミスの影響度3.23=容易に直せないミスが深刻な事態を引き起こす

まとめると、毎日メールと電話で社内外とやり取りしながら、締め切りのある正確な作業を続ける仕事です。一度出した書類の誤りは簡単には直せず、通関の遅れや代金回収の問題につながることがあります。ここが負担に感じやすい点でしょう。

一方で、同じjob tagは「就業時間は規則的なことが多く基本的には残業が少ない」としています。「きつい」の中身は長時間労働というより、締め切りと正確さのプレッシャーだと考えるほうが、公的データとは合っています。なお、job tagには時差についての記述はありません。海外の取引先とやり取りする以上、相手国の営業時間や休日をふまえた段取りは必要ですが、その負担の大きさは担当する国や会社によって異なります。

向いている人

job tagの「興味」では「慣習的」(定型的な方式や規則に従って行う仕事や活動が好き)が3.3で最も高く、「現実的」「社会的」が3.1で続きます。「仕事価値観」では「専門性」が3.5で最も高く、「自己成長」「私生活との両立」「労働安全衛生」が3.3でした。

これらとjob tagの記述から、次のような人が向いていると考えられます。

  • 決まったルールや手順に沿って、正確に作業を積み重ねるのが得意な人
  • 法令や手続きの知識を専門性として深めていきたい人
  • 営業、物流業者、銀行、海外の取引先など、多くの相手と調整するのが苦にならない人
  • 外国語の読み書きを仕事で使いたい人
  • job tagが求められる資質として挙げる「担当する取引についての関心と責任感」を持てる人

よくある質問

Q. 貿易事務は未経験でもなれますか?

A. job tagは、入職に特に学歴や資格は必要とされないとしています。ただし中途採用では経験者が求められる傾向があり、job tagの「未経験でも比較的入りやすい職業」の一覧にも含まれていません。新卒での配属や近い職種での経験、貿易実務検定などでの知識の習得を組み合わせるのが現実的です。

Q. 貿易事務に必要な英語力はどのくらいですか?

A. 特定の試験の点数を一律の条件とする公的な基準はありません。job tagのスキル尺度では「外国語を読む」4.0、「外国語で書く」3.8で、レベル4の例は「外国語の新聞記事を理解する」「取引先に外国語のメールで契約内容の変更を説明する」です。採用で一定水準の語学力を求める企業もあり、多くの企業が入職後に語学研修を行っているとされています。

Q. 貿易事務の年収はどのくらいですか?

A. job tagの貿易事務のページでは、令和7年賃金構造基本統計調査を加工した年収が全国で525.1万円、平均年齢43.3歳です。ただし「貿易事務員」等に対応する広い職業分類の統計で、貿易事務だけの数字ではありません。ハローワークの求人賃金(月額)は令和7年度で26.3万円です。

Q. 貿易事務と通関士の違いは何ですか?

A. 貿易事務は、書類作成・輸送手配・決済など輸出入の事務全般を担う職種です。通関士は通関業法にもとづく国家資格で、通関手続きの専門家です。job tagでは通関士が貿易事務の関連資格・類似する職業として掲載されており、資格があれば関連部門に配属されることもあるとされています。

まとめ

  • 貿易事務とは、営業と連携して輸出入書類の作成、通関や輸送の手配、決済の手続きを進める仕事です。job tagでは職業ID 439、別名は通関業務係・輸出入事務員です。
  • 重要度が最も高いタスクは「書類の作成」「納期の管理や調整」「船便の運行状況の把握と問い合わせ対応」(各3.9)。法令の調査(実施率94.3%)や安全保障貿易の確認(79.3%)も日常業務です。
  • 統計上の年収は525.1万円(令和7年賃金構造基本統計調査、広い職業分類の値)、ハローワークの有効求人倍率は0.25(令和7年度)です。
  • 英語は読み書きの比重が高く、job tagの尺度では取引先と外国語のメールをやり取りする水準が目安です。資格は必須ではありませんが、通関士や貿易実務検定が役立ちます。
  • 「きつい」と言われる点は、締め切りと正確さのプレッシャーです。job tagでは就業時間は規則的で残業は基本的に少ないとされています。

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参考・出典

※本記事は2026年10月2日時点の公的情報・公式情報にもとづく一般的な解説です。job tagの統計値・調査値は職業分類にもとづく値であり、個別企業の待遇や実態を示すものではありません。

(公開日:2026-10-02/貿易ラボ編集部)

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