関税とは?種類・課税の仕組み・計算方法を初心者向けにやさしく解説

実務・手続き

最終更新日: 2026年6月26日 ※本記事は公開時点の公的情報をもとに作成しています。税率・制度・手続きは変更される場合があるため、実際の取引にあたっては税関の最新の公式情報をご確認ください。


輸入を始めようとすると、商品の仕入れ値とは別に必ず気になるのが「関税」です。いくらかかるのか、誰がいつ払うのか、どう計算するのか——最初はわかりにくく、初心者がつまずきやすいポイントの一つです。

この記事では、関税とは何か、なぜかかるのか、そして税率の種類と具体的な計算方法までを、税関やJETRO(日本貿易振興機構)の公式情報をもとにやさしく解説します。輸入手続き全体の中での関税の位置づけを知りたい方は「通関とは」(B2)、貿易の全体像を知りたい方は総合ガイド「貿易とは」(P0)もあわせてご覧ください。

関税とは

関税とは、外国から輸入される貨物に対してかかる税金のことです。商品を国内に引き取る輸入者が、通関(輸入の許可を受ける手続き)の際に納付します。

支払うタイミングは、通関手続きの中の「納税」の段階です。輸入者は税関に輸入(納税)申告を行い、関税や輸入時の消費税などを納めたうえで輸入の許可を受けます。つまり関税は、商品の仕入れ値や送料とは別にかかる「輸入のコスト」だと考えておくとよいでしょう。通関手続き全体の流れは「通関とは」(B2)で解説しています。

関税はなぜかかるのか

関税には、大きく2つの目的があります。

一つは、国内産業の保護です。安い輸入品が大量に入ってくると、同じ商品を国内で作る産業が打撃を受けることがあります。輸入品に関税をかけて価格差を調整することで、国内の産業を守る役割があります。

もう一つは、国の財政収入です。関税は国に納められる税金であり、財源の一つになっています。私たちが海外の商品を輸入するとき、その裏側でこうした役割を関税が担っています。

関税は何に対してかかるのか(課税標準)

関税を計算するには、まず「何に対して税率をかけるのか」を知る必要があります。この計算のもとになる基準を課税標準といいます。

税関によれば、関税は原則として輸入申告時の貨物の「価格」または「数量」を課税標準として課されます(出典:税関 カスタムスアンサー1104)。価格を基準にするものを従価税品、数量(重量・本数など)を基準にするものを従量税品と呼びます。

このうち、よく使われるのが価格を基準にする従価税です。従価税の課税標準となる価格を課税価格といい、これは商品の取引価格に、輸入港に到着するまでの運賃・保険料などを加えた合計額になります。この「商品代金+運賃+保険料」の価格は、貿易の世界でCIF価格(運賃保険料込み条件の価格)と呼ばれます。

ここで大切なのは、商品代金だけでなく、運賃や保険料も課税の対象に含まれるという点です。そのため、どこまでの費用を売り手・買い手のどちらが負担するかを決める貿易条件(インコタームズ)によって、課税価格の考え方が変わってきます。貿易条件については「インコタームズとは」(B4)で解説します。

関税率の種類

関税の税率は1種類ではありません。税関によれば、関税率は法律に基づく国定税率と、条約に基づく協定税率に大きく分かれます(出典:税関 カスタムスアンサー1105)。

国定税率には次のようなものがあります。

基本税率は、長期的に適用される基本的な税率です。暫定税率は、一時的に基本税率によりがたい事情があるときに、一定期間だけ基本税率に代わって適用される税率で、基本税率に優先します。特恵税率は、開発途上国・地域を支援する目的で、原産地証明書の提出などの条件を満たした場合に、それらの国からの輸入品に適用される税率です。このほか、入国者の携帯品や少額輸入貨物に適用される簡易税率もあります。

一方の協定税率は、条約に基づく税率です。WTO(世界貿易機関)の加盟国に対して一定率以上の関税を課さないと約束したWTO協定税率や、特定の国・地域との経済連携協定(EPA)に基づくEPA税率などがあります。

これらの税率には適用の優先順位があり、基本的に特恵税率 → 協定税率 → 暫定税率 → 基本税率の順で、輸入者に有利になるよう適用されます。なお、どの税率が何%になるかは商品ごとに異なり、その商品を分類する国際的な番号「HSコード」によって決まります。HSコードについては「HSコードとは?仕組み・桁数の意味・調べ方」で解説します。

関税の計算方法

関税の計算は、基本の考え方さえつかめばシンプルです。従価税の場合、計算式は次のとおりです。

関税額 = 課税価格(CIF価格)× 関税率

さらに、輸入のときには関税だけでなく、輸入時の消費税もかかります。輸入消費税は、課税価格に関税額を加えた金額に消費税率をかけて計算します(出典:JETRO 輸入税額の計算方法)。

輸入消費税 = (課税価格 + 関税額)× 消費税率

簡単な例で見てみましょう。商品代金・運賃・保険料を合わせた課税価格が10万円、その商品の関税率が5%だったとします。このとき関税額は「10万円 × 5% = 5,000円」です。輸入消費税は、課税価格10万円に関税額5,000円を足した10万5,000円に消費税率をかけて計算します。実際の納付額は、これらを合計したものになります。

※税率は商品ごとに異なり、上の5%はあくまで計算の流れを示すための仮の数字です。自分の商品の正確な税率は、後述の方法で必ず確認してください。

少額輸入貨物の簡易税率

個人輸入や小口の輸入では、少額輸入貨物の簡易税率という仕組みがあります。税関によれば、課税価格の合計額が20万円以下の輸入貨物には、品目を大きく分けた6区分(+酒類の区分)の簡易税率が適用されます(出典:税関 カスタムスアンサー1001)。品目ごとに細かく税率を調べなくてよいため、少額の輸入で手続きが簡単になります。

また、個人が自分で使うために輸入する個人輸入の場合、課税価格は商品代金そのものではなく、海外での購入価格の約60%として計算される点も覚えておくとよいでしょう。さらに、課税価格が1万円以下の貨物は、原則として関税・消費税が免除されます(一部対象外の品目を除く)。

ただし、簡易税率には消費税は含まれていないため、別途、輸入時の消費税がかかります。

関税率の調べ方

自分の輸入する商品にいくらの関税がかかるかは、商品ごとのHSコードをもとに、税関の実行関税率表(Webタリフ)で調べることができます。実行関税率表には、品目ごとの基本税率・暫定税率・WTO協定税率・EPA税率などが一覧で掲載されています。

注意したいのは、EPA税率(経済連携協定に基づく低い税率)を使う場合、その商品が協定相手国の原産品であることを示す原産地証明書などの提出が必要になる点です。条件を満たさなければ通常の税率が適用されます。正確な税率や適用条件は品目・原産国によって変わるため、実際の輸入前に税関や通関業者に確認するのが安全です。

まとめ

関税とは、輸入品にかかる税金で、商品を引き取る輸入者が通関の納税段階で納めるものです。ポイントを整理すると、次のとおりです。

  • 関税は原則として課税価格(商品代金+運賃+保険料=CIF価格)に税率をかけて計算する。
  • 税率には国定税率(基本・暫定・特恵・簡易)と協定税率(WTO・EPA)があり、特恵→協定→暫定→基本の順で有利に適用される。
  • 税率は商品のHSコードで決まり、税関の実行関税率表で調べられる。
  • 課税価格20万円以下には簡易税率、1万円以下は原則免税という仕組みがある。

税率や制度は変わることがあるため、実際の取引では必ず税関の最新情報を確認してください。

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参考・出典

  • 税関 Japan Customs カスタムスアンサー「1104 関税の課税標準」 https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1104_jr.htm
  • 税関 Japan Customs カスタムスアンサー「1105 関税率の種類」 https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1105_jr.htm
  • 税関 Japan Customs カスタムスアンサー「1001 総額20万円以下の貨物の簡易税率」 https://www.customs.go.jp/tetsuzuki/c-answer/imtsukan/1001_jr.htm
  • 税関 Japan Customs「少額輸入貨物の簡易税率」 https://www.customs.go.jp/tsukan/kanizeiritsu.htm
  • JETRO 貿易・投資相談Q&A「輸入税額の計算方法:日本」 https://www.jetro.go.jp/world/qa/04M-100421.html

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