最終更新日: 2026年7月2日
※本記事は公開時点の公的情報をもとに作成しています。物流業者の区分や制度は変わることがあります。実際の依頼にあたっては、各業者やJETRO(日本貿易振興機構)などの公的機関にご確認ください。本記事は特定の事業者やサービスを推奨するものではありません。
貿易では、商品の輸送や港での荷役、通関手続きを、それぞれの専門業者に任せるのが一般的です。ただ、初めて輸出入に取り組むと、「フォワーダー」「乙仲(おつなか)」「通関業者」といった耳慣れない呼び名が出てきて、誰が何をするのか分かりにくいものです。
この記事では、貿易の物流に登場する主な業者を、JETRO(日本貿易振興機構)の公式情報をもとにやさしく整理します。貿易の全体像から知りたい方は総合ガイド「貿易とは」(P0)を、輸送手段そのものについては「海上輸送と航空輸送の違い」(D1)もあわせてご覧ください。
フォワーダー・乙仲とは(まず全体像)
輸出入の物流に関わる業者は、大きく次のように分けて考えると整理しやすくなります。
- 自ら運ぶ人=実運送人(船会社・航空会社)
- 運送を手配・取り次ぐ人=フォワーダー
- 港で荷役をする人=港湾運送事業者(乙仲=海貨業者もここに含まれます)
- 通関手続きをする人=通関業者
これらは役割の違いによる区分で、実際には1つの会社が複数の役割を兼ねていることも多くあります。まずは「誰が何を担うのか」を押さえていきましょう。
実運送人とフォワーダーの違い
最初に、輸送の主役である「実運送人」と、その手配役である「フォワーダー」の違いを整理します。
実運送人(じつうんそうにん)とは、自ら船や航空機を所有して、実際に貨物を運ぶ業者のことです。船会社や航空会社がこれにあたり、英語ではActual Carrier(アクチュアル・キャリア)やCommon Carrier(コモン・キャリア)と呼ばれます(出典:JETRO「物流業者の種類と概要」)。
一方のフォワーダー(Forwarder)は、自らは船や航空機といった輸送手段を持たず、荷主から貨物を預かって、実運送人の輸送機関を利用しながら運送を取り次ぐ業者です。こうした業者は法律上「利用運送事業者」と呼ばれます。つまり、実運送人が「運ぶ人」なら、フォワーダーは「運送を手配・まとめる人」というイメージです。どの輸送手段を使うかについては「海上輸送と航空輸送の違い」(D1)で解説しています。
フォワーダーの役割と種類
フォワーダーは、荷主に代わって船や航空機のスペース(船腹・スペース予約)を手配し、貨物を目的地まで運ぶ段取りを担います。輸送の手配だけでなく、小口貨物のとりまとめ、船荷証券(B/L)などの船積書類の作成補助、貨物保険や国内輸送の手配、通関の手配などをまとめて引き受けることも多く、輸出入の物流の「窓口」として頼れる存在です。とくに初めての輸出入では、どんな書類が必要かも分かりにくいため、書類まわりを相談できる相手がいると安心です(貿易で使う書類は「貿易書類の基礎」(B5)で解説しています)。
JETROは、フォワーダーの主な種類として次のようなものを挙げています(出典:JETRO「物流業者の種類と概要」)。呼び名は難しく見えますが、役割はシンプルです。
主な種類
- NVOCC(非船舶運航業者):自ら船を運航せずに、荷主に対しては運送人として貨物を引き受け、実際の輸送は船会社に依頼する業者です。
- 混載業者(コンソリデーター):複数の荷主から集めた小口貨物を、仕向地ごとにまとめて大口貨物にし、実運送人に引き渡します。小口で送りたいときに使うLCL(コンテナ1本に満たない小口混載)とも関わります。
- 国際複合一貫運送業者:海上・航空に加えて鉄道やトラックなどの陸上輸送を組み合わせ、複数の輸送手段を1本の運送契約でつなぐ業者です。
- インテグレーター:自ら航空機まで保有し、集荷から配達までを一貫して引き受けるドアツードアの国際輸送業者です。FedEx・UPS・DHLなどが代表例です。
どの費用や危険をどちらが負担するかは、取引条件(インコタームズ)によって決まります。あわせて「インコタームズとは」(B4)も確認しておくと、フォワーダーへの依頼範囲を決めやすくなります。
乙仲(海貨業者)とは
乙仲(おつなか)とは、正式には海運貨物取扱業者(海貨業者)と呼ばれる業者の通称です。荷主の委託を受けて、港で個品運送のはしけ運送(本船と岸壁の間をはしけ船で運ぶ作業)や沿岸荷役(岸壁での積み下ろしなどの作業)を行います。これらは港湾運送事業法という法律に基づく事業です(出典:JETRO「物流業者の種類と概要」)。
もともとは港での荷役を担う業者を指す言葉ですが、現在の海貨業者は、通関手続きや輸送の手配まで幅広く引き受けていることが多く、実際にはフォワーダーや通関業者と役割が重なっています。「乙仲」という古くからの呼び名が、今もフォワーダーや海貨業者を指す言葉として使われている、と理解しておくとよいでしょう。実務の現場では、輸出入の相談を「まず乙仲さんに」と言う場面もありますが、その中身は輸送手配から通関までを含む総合的な物流サービスであることがほとんどです。
通関業者とは
通関業者とは、輸出入の通関手続きを専門に代行する業者です。通関手続きは、税関に対する輸出入の申告や、書類の審査など専門的な知識を必要とするため、通関業者に委託するのが一般的です。
通関業者は、通関業法に基づく許可を受けた業者で、社内には国家資格を持つ通関士がいて、申告書類の審査などを担います。通関そのものの流れや必要書類については「通関とは」(B2)で詳しく解説しています。なお、海貨業者や航空代理店が通関業者を兼ねていることも多くあります(出典:JETRO「物流業者の種類と概要」)。
フォワーダー・乙仲・通関業者の違い
ここまでの内容を、役割で整理して比べてみます。
| 業者 | 主な役割 | 輸送手段 |
|---|---|---|
| 実運送人(船会社・航空会社) | 自ら船・航空機で実際に貨物を運ぶ | 自ら保有 |
| フォワーダー | 実運送人を手配し、運送を取り次ぐ(混載・複合輸送・手配全般) | 自らは持たない(利用運送) |
| 乙仲(海貨業者) | 港でのはしけ運送・沿岸荷役。通関や手配も兼ねることが多い | 港湾運送が中心 |
| 通関業者 | 税関への輸出入申告など通関手続きの代行 | ― |
大切なのは、これらは「役割」の区分であって、1社がいくつもの役割を兼ねていることが多いという点です。実際、フォワーダーの多くは通関業や港湾運送などの機能もあわせ持っています(出典:JETRO「物流業者の種類と概要」)。
どの業者に頼めばいい?依頼のポイント
「結局どこに頼めばいいのか」は、初めての輸出入でいちばん迷うところです。基本の考え方は、自社でできない部分を専門業者に任せる、というシンプルなものです。次のような点を目安に依頼先を考えるとよいでしょう。
- どの区間を任せたいか:港から港までか、相手先のドアまで(ドアツードア)か。
- 貨物の量:小口ならLCL・混載に対応する業者、大口ならコンテナ単位(FCL)に対応する業者。
- 通関を任せたいか:通関まで頼むなら通関業を兼ねる業者が便利。
- まとめて任せたいか:輸送・港湾作業・通関を一括で頼みたいなら、複数機能を持つフォワーダーが窓口になります。
迷ったときは、複数の機能を持つフォワーダーに相談したり、JETROの貿易投資相談などの公的な窓口を活用したりする方法もあります。特定の1社に絞る前に、対応できる範囲や条件を確認して選ぶことが大切です。
まとめ
フォワーダー・乙仲・通関業者は、いずれも輸出入の物流を支える専門業者ですが、役割が異なります。ポイントを整理すると、次のとおりです。
- 実運送人(船会社・航空会社)は自ら運ぶ人、フォワーダーは運送を手配・取り次ぐ人。
- 乙仲は海運貨物取扱業者(海貨業者)の通称で、港でのはしけ運送・沿岸荷役が本来の役割。
- 通関業者は通関業法に基づく許可を受け、税関への申告など通関手続きを代行する。
- これらは役割の区分であり、実際は1社が複数の役割を兼ねることが多い。
- 依頼先は、区間・貨物量・通関の要否・ワンストップかどうかで選ぶ。
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参考・出典
- JETRO(日本貿易振興機構)貿易・投資相談Q&A「物流業者の種類と概要:日本」(04A-010132) https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-010132.html
- JETRO(日本貿易振興機構)貿易・投資相談Q&A「輸入通関手続きを輸入者本人が行う場合と通関業者に委託する場合の留意点:日本」(04A-010149) https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-010149.html


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